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ニセ科学からCSを考える
(2011.3.7)



某有名大学の先生の講演を聞きました。
「ニセ科学と付き合うために」という講演です。

なぜ、この講演を聞こうと思ったかというと、一応、理系の学問を学んだものの、 ニセ科学に興味を持ったことがなかったからです。
実のところ、昨年の8月、日本学術会議会長がホメオパシーを否定するような談話を出したという 新聞記事を読むまで、重大な事故などないと思っていました。しかし、 医療機関で科学的根拠のない代替医療により死者が出たことに絶句し、興味を持ちました。

さて、講演の内容は、大きく、@ニセ科学とは何か、 A科学者はニセ科学と向き合ってこなかったが今は違う、B事例紹介とニセであることの解説、 Cニセ科学の特徴、Dニセ科学を見抜くには、という5部構成でした。

ニセ科学の定義は、説明が難しいので、先生が挙げられた事例を少し紹介して、 なんとなく判って貰いたいと思います。
以下、事例のタイトルです。

・血液型性格判断
・マイナスイオン(は体に良い)
・ホメオパシー
・ゲルマニウム(が健康に良い)
・EM菌(川や湖も浄化できる)

この5つ以外にも事例は紹介されていましたが、私が記憶できたのはこれだけでした。
皆さんはいくつ聞いたことがありますか?
私はEM菌というのは初耳でした。
ニセ科学とは、宣伝などで、一見、科学的な根拠を示しているようにではあるが、実は、 真に科学的な根拠を示していないもののことだということです。

さて、ニセ科学とCSについて考えて見ましょう。
ニセ科学の特徴は以下のとおりとのことです。

@きっちりと白黒をつける
マイナスイオンなら体に良い、プラスイオンなら悪い、というように、きっちりと区分するので、 判り易く思えることが特徴の1つです。
しかし、科学では、きっちりと白黒が付くことがないのが普通です。
良薬も大量に飲めば毒になります。白か黒かは分量に関わることであり、 絶対に白とも黒とも言えないのです。

A脅す
健康に関するニセ科学に多いのが「体に悪いと脅す」ことです。
たとえば、水道水は体に悪い、というようなものです。
科学の目でみれば、水道水が体に悪ければ、上水道の普及とともに、 日本人の平均寿命が短くなってもよいように思われますが、寿命は延びています。反論として、 水道水は体に悪いが医療の進歩が寿命を延ばしたのだという考えもあるでしょう。 そうであれば、医療の効果をしっかりと説明する必要があるでしょう。 ただ脅すだけではニセ科学と疑われても仕方ないかもしれません。

B願いを適える
なんとなくお伽の国やディズニーのような話になりますが、健康になれる、などのような、 人の願いをかなえてくれる、という特徴があります。

この3要素が上手く絡み合うと、まず最初に不安が芽生え(A)、不安の原因や解決方法が判り(@)、 希望が持てる(B)という非常に単純明快な道筋がみえてくるように思えます。これは、 CSの世界でよく言われる「ワンストップショッピング」を実現しているのではないでしょうか。
ニセ科学が人を虜にする理由は、単純明快な形で、 CSを実現するワンストップショッピングが成立しているからではないでしょうか。

では、ニセ科学と上手に付き合うにはどうすればよいのでしょうか?
言い古された事ではありますが、世の中、そんなに甘い話はないと疑うようにすることでしょう。
先生曰く、最近は、TV番組でも、ニセ科学に近いようなものもあるそうです。 マスコミでも信用するに値しない、くらいの気持ちが必要のようです。いわんや、 ネット情報を信用するのも危険が多いと言えるでしょう。

「気をつけよう 甘い言葉と 暗い道」(防犯標語?)ですね。