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震災ボランティアツアーにおけるCS(2)
(2011.10.31)



次に紹介するのは、9月に参加したボランティアツアーのCSへの取り組みです。
このツアーは、地元(被災地)の某T旅行社主催のボランティアツアーで、1泊2日、 土曜日の昼前に仙台駅前を出発、被災地で1泊、翌日曜日の夕方近くまで活動し、 夜に仙台駅前解散というものでした。

ボランティア内容は、海苔の養殖業再開のための、網作りや筏作りのお手伝いで、実作業時間は、 1日半のボランティア期間中に約9時間でした。
このツアーでも、大きく2つ、CS向上のための取り組みがありました。

1つは、ボランティア参加者、被支援者、 その他の被災者の三者の満足を達成しようとしていることでした。
第1回でも書きましたが、震災ボランティア参加者から寄せられる不満の多くは「もっと重労働を」 のような仕事内容や仕事量に対するものです。
海苔の養殖業再開のための、網作りや筏作りのお手伝いは、男性にとり、それほど重労働ではありません。 しかし、不満の声は少なく、満足の声が多かったツアーでした。
その要因は、被支援者(ボランティアの依頼者)と一緒に作業をしたことにありました。
海苔養殖用筏は全て流されてしまい、1からの再開だそうで、 一度はこのまま漁師を辞めようと思われた、とか、いろいろな話を聞かせて貰いながら、 作業を教えて貰い、一緒に作業をするという一体感が満足の要因だったのです。
また、この旅行社はボランティアの被支援者だけでなく、被災地全体に目を配ろうとしていて、 いろいろと交渉して被災地にて宿泊、というコース設定をしていました。
災害からの復興を目指して頑張る人を応援するためのツアーだからだそうですが、 被災地に宿泊するという事も、ボランティア参加者からすれば満足を得られる事です。

もう1つは、HPで公表すべき事ではないのかもしれませんが、いろいろな場所(被災地) をツアーと称して、見学に連れて行ってくれたことです。
前回紹介したボランティアツアーでも、目的地まで行くのにちょっと遠回りして、 車中から見学させてくれましたが、バスから降りて、じっくり見るということはありませんでした。
このツアーでは、ほんの30分程度を2回でしたが、津波被害の凄まじさを物語る場所に連れて行き、 以前はどうで、津波の後は何も残っていない、などの説明までしてくれました。確かに、 TVなどマスメディアの報道で見てはいますが、大自然の猛威を目の当たりにした私達は大満足でした。
これもやはり、立派なCSだと思います。

以上が第2のツアーから感じたCSで、主催旅行社が地元ということもあるのでしょうが、それ以上に、 復興を目指す多くの人への気配りを感じたCSでした。

この2つのボランティアから感じたCSの差異について、次回コラムで考えてみたいと思います。