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CS雑感(1)

〜 結婚式(披露宴)とCS 親バカ日記 〜
(2013.11.28)



この秋、神戸で(双方の実家に近いため)、娘が結婚式(披露宴)を行い、これぞCS!と感じた話である。
式場の人のCSが良かった、という話ではなく(当然、式場の人のCSは良かったのだが)、新郎・新婦である本人達の努力と、 披露宴を盛り上げてくれた友人達の努力の成果としてのCSの物語である。
そもそも、サービス業のCSは、サービスの本質である、売り手と買い手の協働作業により創られる。
すなわち、Moment of Truth(真実の瞬間/ 決定的瞬間)と言われるもののことである。

では、どのような披露宴であったかを、振り返ってみよう。

まず、披露宴のお客様(招待客)との最初の接点は”招待状”である。
中身は式場の普通の招待状だが、手書きで一言添えてあり、宛名も手書き、徹夜しながら発送した(らしい)。
次の接点は、披露宴のテーブル上。席上名札、席次表、当日のメニューがお出迎え。
この3つ(正確には2作品)は、新郎・新婦の手作りである。ディズニー好きの娘に調子を合わせてくれた、新郎の思いやりもあり、 TDRを連想させる小作品となっていた。名札はTDRのパスポートを模し、席次表と当日メニューは、 3折り・両面刷りのパークガイドを模しており、バカ丁寧にHPから拝借したディズニーフォントや画像で本物らしさが溢れている。
見事に、ディズニー7つの法則でいう「細部にこだわる」出来であった。
それだけでなく、式の3日前に帰ってきて、式前日まで、誤字修正やら印刷やらで、徹夜に近い状態で、ずっと準備していた。
ハタから見ていて「絶対、バカ」と思っていた。
この2作品。結構評判がよく、開宴が少し(20分程度)遅れたが、その間、招待客の皆さんは”何コレ?”的な話しで盛り上がり、 遅れが気にならない様子であった。
この2つに共通する事項は”ひと手間を惜しまない”ということである。

さて、ようやく本人達の登場(入場)である。
入場し、新郎・新婦が正面の席に着き、さあ開始、となったところで、式場の司会者から、 新郎・新婦がどうしても挨拶したいといっていると紹介があり、二人立ち上がり、粗宴ですがお楽しみください、 という主旨の挨拶をし、
あの滝川クリステル風「おもてなし」を芸として披露。
これも二人で結構練習したとのこと。大体、式の最初から挨拶なんて・・・普通、最後の謝辞でしょう、 とツッコミたくなる。が、皆さんも同様に面食らっていたようであるが、”この二人ならしゃ〜ない”というオーラを発しながら、 許してくれていた。
ここでのポイントは”意外性”である。
挨拶をしたこと、そして、挨拶だけで終わらせず、芸まで披露(関西人としては当然?)したことである。

その後のケーキ入刀〜主賓挨拶なども盛り上がったが、CSの観点では、次は友人達のスピーチ等である。
新郎友人(達)は”新郎操縦マニュアル”のスピーチ。10分弱のDVDに合わせ、代表の一人が、 新郎の学生時代のエピソードを含め、次々と説明していく。内容のおもしろさもさることながら、 DVDの流れに完璧に合わせたしゃべりが、一層、興を嵩じている。また、大変立派なDVDであったが、 初めてビデオ編集に挑戦した子が、3ケ月掛けて製作したという力作。
DVDに出演した多くの友人達の暖かく、愉快な姿を余す所なく、映し出していた。
新郎・新婦共通の友人(達)はお決まり?の歌。そもそもの出会いがバイト先(ファミレス)。 そのバイト先の当時の仲間が集まって歌ってくれた。
娘の大好きな嵐の曲を、振り付けも結構上手に歌ってくれた。
旧同僚ゆえ、今は、そこに勤めていない人も含まれていて、どうやって集まったの?というメンバー達。
後で聞くと、一人ひとりでパートの練習をしておいて、何度か夜遅く集まって、一生懸命練習したということである。
どちらにも共通していることは、たった10分足らずの事に対し、その準備時間の厖大さである。
”しっかりとした準備”が感動を呼んだのである。

かくして、多くの招待客が満足され、成功裏に終わった披露宴であった。

この披露宴のCSの高さは、ある面、素人が、ある一瞬のために、厖大な時間を費やして、達成したものであり、仕事として、 業務として、数をこなさねばならない場合には適用できないものである。
しかし、上述した3つのエッセンス

・ひと手間を惜しまない
・意外性
・しっかりとした準備

は、どのような場合でも有効であると、再認識することができた。