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CS雑感(3)

〜 ショールームとCS 〜
(2014.1.11)

         

前回、今回と、会社勤め時代の実体験からのCS雑感です。
2回目の今回は、ショールームのCSです。

さて、皆さん、ショールームと聞くと、どのような事を思い浮かべますか?
やはり、その会社の鏡、みたいに思われる方が多いのではないでしょうか。
私も、ショールームで、その会社のサービスレベルを判断できると思います。
会社にとり、ショールームがあれば、そこは非常に重要なポジションです。そして、一方、自分がお客様の立場の場合、 その後の事を考えると、買わされるという思いがあり、入り難いと感じている場所でもあります。
そのため、ショールームを運営する側としては、入り易く、滞在し易く、それでいて、高級感もそこそこあって、 スタッフは馴染み易い、という課題をクリアしたいと欲張ることになります。

私が勤務したところは、改装オープンするショールームで、次のような事に取り組むこととなりました。
入り易く、滞在し易い、という観点から、当初、お客様が来訪された時の「いらっしゃいませ」と、 帰られる時の「ありがとうございました」の挨拶を行わない+お客様が展示物を見ている時に、あまり声を掛けない、 というルールを採用しました。つまり、『買わされそう』感を無くし、安心して展示物を見て貰おう、という作戦です。

しかし、これは大失敗に終わりました。
来訪から帰られるまでの間、お客様に全く声が掛けられないことが多く、お客様からご指摘を受けました。
逆の、不要な声掛けがなく、有難いという、お客様からの賛成の声も少数ありましたが。
ルールでは、当然のことながら、ご説明を求められているなど、必要なお客様にはスタッフから積極的にお声を掛ける、 としていました。また、これも当然のことですが、お客様の仕草を観察して、という研修も行ったのですが、 お客様とスタッフのレベルが合致しなかったのです。

この次には、10秒ルールを採用しました。来訪されて少しの間、お客様を観察し、 接遇が不必要と判断されないお客様全員にお声を掛ける、というルールです。観察時間の目安を10秒としたので、 10秒ルールと呼びました。
しかし、まだ、来訪から帰られるまでの間、お客様に全く声が掛けられないことが多く、お客様からも、まだ、 ご指摘がありました。

結局、来訪時と退出時の挨拶は、きっちりお客様に向って分離礼で、やまびこ挨拶はしなくてもよい、というルールを決め、 復活させました。
スタッフから全く声が掛からないと、お客様は不安感・不信感を持たれるようでした。
やまびこ挨拶は、しなくてもよい、としていましたが、結局、ほとんどするようになり、少し気にしていましたが、 お客様からやまびこ挨拶がウルサイというお声はほんの少しありましたが、概ね好評(普通?)でした。

また、これもショールームとして当然のことですが、会社の商品・サービスを多くの見込み客に見て貰うことが目的であるため、 来場者数が多くなるように努めます。
立地場所が、とある商店街に囲まれていたので、商店街のセール時によく行われる抽選会の会場を誘致しました。
抽選期間が約1ケ月もある抽選会で、事前情報によると、ショールームへの来場者が増える時間帯と、 抽選に来るお客様が多い時間帯とが、ほとんど一致するようでした。
実際に抽選会場を運営すると、ほぼ、事前の想定どおりでしたが、一番の差異は、 お客様にはショールームが抽選会場とお知らせされているのですが、 なかなかショールームの中に入っていらっしゃらない方が多かったことでした。ありがたい事に、繁忙時間帯では、 他の抽選に来たお客様の行動を見て、中に入ってこられるので助かりましたが、スタッフには、普段、 それほど注意を払わないショールームの外にも、気を付けるようにして貰いました。
ショールームのお客様から、抽選のためのスタッフを説明に回すように、と言われたことも確かですが、それほどの事でもなく、 トラブルに発展するような事もありませんでした。抽選のために割いたスタッフは1名ですから、 大勢に影響がなかったのです。

ここからは前回と同様、ショールームにとっての顧客満足の観点と、会社にとっての顧客満足の観点から、2つの事柄について、 考察してみよう。

まず、ショールームの顧客とは、繰り返し利用するお客様となるであろう。
そうすると、来訪時と退出時の挨拶に関しては、あってもなくても、どちらでもよく、聞きたい時に応えてくれればよい、 ということになる。
抽選会場に関しては、ショールームの顧客が繁忙時間帯に来場されるかどうかにより評価が分かれそうである。当然、 繁忙時に来場される人は、抽選会場に批判的であることが多い。中には、客層がいつもと異なるのでおもしろい、 という肯定的な人もいらっしゃるのだが。

では、会社の顧客の観点ではどうだろう。
多くの場合、自宅などの近隣にショールームがないので、顧客はそれほどショールームを利用することはない。
顧客とり、ショールームは絶対に必要、というものではない。あってもよい、程度のものである。
もし、ショールームがあるのなら、どこにあるかを教えて欲しい、ということが第一の要望であり、次に、 自分が来場した時のことを想像して、接客は良く、かつ、賑わっていること、という条件を付けたくなる。
そもそも、場所が判らない、などということはナンセンスである。
ショールームの接客が平凡、では、会社がわざわざ所持する必要性は認められないし、 賑わっていない場所には入るのに勇気が要るから嫌、となる。
そうすると、来訪時と退出時の挨拶や抽選会場に関しては、これらの要望に合致するものである。

さて、前回、今回と、会社のCSと、会社の一部の部署のCSとを比較してみたが、意外というか、やはりというか、 差異があることが判る。
2つの異なる顧客接点を経験し、会社のCSを理解した上で部署のCSを達成することが大切だと、 認識を新たにしたのである。